どんな人もいなくなったら終わり
英語に「Out of sight, out of mind」という言葉があるが、どんなに重要な人でもいなくなるとあっと言う間に人々の記憶から消え去ってしまうものだ。会社に入った時にカリスマ社長(その後会長~相談役になられた)のNさんがおられた。この人は我々の会社の中興の祖とも言うべき人で、まだ中小企業に毛がはえたぐらいの会社を大変な努力の結果、日経225に入れるぐらいの会社まで大きくされた人だった。したがって私が会社に入った頃は、Nさんはほとんど神様のように扱われており、毎月1回の会議や朝礼でNさんが工場を訪問された時だけはNさんの話を聞こうと聴衆で一杯になったのを思い出す。そして晩年Nさんが相談役になり、もうすぐ会社を離れる頃になって会社はNさんの功績を称えてNさんの業績をまとめた本を従業員全員に配るということも行われた。そんなNさんがいよいよ取締役を離れ、会社にも顔を出さないようになると、我々従業員は次の社長の指示にしたがい仕事をするようになっていた。そしてその次の社長が新たなビジネス方針を出すと従業員は緩やかに軌道修正をしながら新しいマネージメントを学ぶようになった。こうして我々サラリーマンは「唯一無二の方針はない」事を悟り、さらには「トップの考え方が変われば、ビジネスの環境が変わり、我々も変わる」事を学ぶようになった。自分がトップをやっている時は、自分の方針は「未来永劫有効な方針」のように感じるが、物理学の〇〇の法則のような方針はほとんどなく、一時期の方針に過ぎず、新たな人の出現とともに新たな正義が現れることを勉強した。

中興の祖と呼ばれたNさんだったが、今は誰も知らない


